2013年11月11日

【重要文化財】 清水寺子安塔 彩色修理




国宝清水寺本堂ほか8棟保存修理工事(子安塔内部塗装工事)および子安塔扁額彩色修理が過日無事に完了しましたので、お知らせいたします。



清水寺子安塔初層内部-.jpg
 清水寺子安塔扁額-.jpg
 子安塔初重内部 完成 子安塔扁額 完成




【建物の概要】
子安塔竣工-.jpg 名称  清水寺子安塔
 員数 一基
 建築年代 明応9年(1500)
 構造形式 三間三重塔婆、檜皮葺
 所在地 京都府京都市東山区清水1丁目
 文化財の指定   昭和41年(1966) 6月 11日
 文化財の種別  重要文化財(建造物)




【子安塔の主な修理履歴】
 元禄9年(1696)頃 屋根葺替
 宝暦3年(1753)頃 各重軒廻り、心柱形式、初重縁廻り、初重内部須弥壇廻り・厨子・柱間装置改変
 文政12年(1829) 屋根葺替
 文久2年(1862) 屋根葺替
 明治44年(1911) 移築、初重天井改変、二重三重小屋組改変、壇上積基壇設置、外部彩色を単色塗へ改変、錺金具新調
 昭和26年(1951)  屋根葺替、斗栱等部材取替え、小屋組補強、心柱盤取替え、初重天井改変
 昭和53年(1978) 屋根葺替




子安塔は元・泰産寺(清水寺成就院の子院)の塔で、明治44年に境内南側の現在地に移築される以前は、清水寺参道を登り詰めた境内入口付近(仁王門下)にありました。
子安塔は安産祈願所として信仰を集め、旧参道途中の産寧坂(三年坂)の名の由来は、これにちなんだものと言われています。

今回の保存修理工事までは、建築年代が江戸時代初期の寛永年間(1624〜1644)頃と考えられてきましたが、解体工事中に初重方斗から発見された墨書によって、室町時代の明応9年(1500)にさかのぼることが明らかになりました。

子安塔外部には度重なる彩色・塗装の形跡があり、建築当初の姿を確定することはできませんでした。
内部に関しても塗り替えられていましたが、塗装の下に残っていた墨線や顔料、文様の痕跡を基に、彩色の推定復元を行いました。

子安塔内部塗装工事とは別に、子安塔扁額も調査によって明らかとなった当初の姿に復元しました。

なお、子安塔内部塗装工事は、単色塗を(株)片山様、漆塗を(株)はせがわ美術工芸様に協力いただきました。
また子安塔扁額彩色修理は、漆塗を(株)はせがわ美術工芸様に協力いただきました。

清水寺様、京都府教育庁指導部文化財保護課様をはじめ、本事業でお世話になった皆様に御礼申し上げます。








posted by 川面美術研究所 at 13:30| 建造物装飾
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